お豆の半分
Half of Bean

作品番号1
1983年作品

ジャンル/コメディ
ページ数/26
掲載誌/新書館ウイングス
着想・シナリオ完成/Oct.23.82
完成/Feb.4.83

キャラクター
ジェームス・ブライアン
カーター・オーガス
アンドルー・グラスゴー
シン・ギャラガー
アンジェラ・バーンスタイン


●ジェームスがアンディと離れたために、超自然的理由からおかしくなり、彼を追ってニューヨークへ行き、再会するまでのドタバタコメディ。
予告編的抜粋であり、完成度はぜんぜん高くない。これをいきなり読まされた読者の人は、前か続きがあるに違いないと、雑誌のウラオモテをひっくり返してみなければならなかった。
タイトルの「お豆の半分」は「トム・ソーヤの冒険」に出てくる、イボ取りのまじない(ふたつに割った豆の片方にイボの血をつけておき、もう片方を土に埋めておくと、血のついた豆の半分はもう片方の豆に引っ張られ、イボは豆についた血に引っ張られて取れるというもの)からとったもので、「星の歴史」の中でカーター・オーガスが解説してくれるまで、その意味はずっと読者には謎のままだった。

制作エピソード
お豆の半分は26ページの小作品だが、作家デビュー作ということもあって、いろいろ裏話が多い。
お気付きの通り、これはPALM第5話「星の歴史」の一部を単独エピソード化したものだ。が、実はこの当時まだPALMシリーズは全体の構成はおろかシリーズ名さえ出来上がっておらず、もちろんまだ「星の歴史」も1ストーリーとして構想されていなかった。主要キャラであるあの大悪役のエティアス・サロニーなども影も形もなかった頃である。
1982年の夏に新書館に持ち込みをしたとき、PALMシリーズですでに出来上がっていたのは、のちに第4話になった「スタンダード・ディタイム」の習作版と、「あるはずのない海」のシナリオ及びコンテだけだった。
しかしご存知のようにどちらも200〜600ページの長編なので、なんとかデビュー用に短い部分エピソードを抜粋しようということになり、作品構成は別として、何とかわかっているキャラクターの未来史からこのパイロット版第一作をひねり出したのである。
つまり事実上は、まずこの「お豆の半分」を作って、あとから「星の歴史」のストーリーを当てはめていったわけだ。

また、わたしが新書館に持ち込みをしたのは、当時の夫と最初の別居をしていた間だったのだが(つまり別居にともなう就職活動であった)、その後暴力などの問題が解決されるか様子を見るという条件で一度よりを戻し、このデビュー作「お豆の半分」の執筆のただ中に状況が悪化して再度別居、原稿の前半は夫の住居のあった福島県で、後半は出戻り先の母のアパートのあった東京で書き上げることになった。
まだ2歳だった息子とおむつと原稿ぐらいを持っての出戻りだったから、思えばスタートからかなり波乱含みだったと言える。
夫とはその後連絡が途絶え、3年後調停を申請、正式離婚となった。
Feb.1998


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