アンドルー・グラスゴー
Andrew Glesgow
PALM-Main -2
●所属作品/PALM
●名前/本名アンドルー・クレイトン・グラスゴーAndrew Clayton Glesgow 。通称アンディ
●生年月日/1963年8月1日
●性別/男性
●人種/父親がクウエートのアラブ人とイギリス人の混血、母親がギリシャ系アメリカ人とブラジル人の混血。
●親族/母、モナ・ハリシアディス・グラスゴー。父、サミエル・グラスゴー。両親の死後は遠い親戚のカーター・オーガスが後見人に。同居人のアンジェラとは、はとこに当たる。
●経歴/父がケニアの毒蛇研究所で働いていたためアフリカのケニアで育つ。3歳の時の母の事故死から、幼少期は周囲に心を閉ざし、10歳から15歳まで家出してライオンとサバンナで生活し、父の死後17歳で渡米。一年間だけ高校で学校教育を受ける。20代で芸術家として名を成し、1992年死去。
●職業/彫刻家

アンドルー・グラスゴーは
カーター・オーガスやアンジェラ・バーンスタインなどと同じく1974年、作者14歳当時誕生の第2世代に属するキャラクターだ。
アンディはPALM御三家のひとりである。
PALM御三家とはJACSの通称でひとまとめにされている、ジェームス、カーター、そしてこのアンディの3人。でもって四天王がジェームス、カーター、フロイド・アダムス、エティアス・サロニーの4人。どうして御三家と四天王で顔ぶれが違うのかというと、御三家はいわゆるアイドルで、四天王はそれとはちょっと趣が違う人たちだからで、そう考えると御三家と四天王の両方に入っているジェームスとカーターは大したものといえば大したものなのだが、あのふたりのどこがどうアイドルなのかと追及されると話はアイドルの定義にまでさかのぼって長くなる。しかしこのアンディがアイドルタイプというと、おそらくどこのどなたにも、すんなり納得していただけるのではないだろうか。

●性格
最近はフロイドが(出身がお坊っちゃまなので)PALMの中のお坊っちゃま代表として出張ってきたが、性格その他からして、PALM中「真のお坊っちゃま」と言えるのは、やはりこのアンディだろう。よくも悪くも、彼は生まれながらの王子様。言い方を変えると「だめだなあ、お前は」なんて言われつつも、立ってるだけで服のボタンまでかけてもらえる末っ子体質だ。
アンディはわがままで自己中心的狭量で強情だが、それでも愛されかわいがられるのは、本質的に素直で、現代人がどこかに置き忘れてしまった純粋無垢さを持っているからだろう。自分の非はすっきり認められるきっぷのよさや、人間の弱さや心の傷を感じ取る優しさもある。
ただアンディは、人間に対する関心無関心の落差の激しいキャラクターで、時々妙に横柄で冷たくもあり、高校時代の同級生ラウルとの葛藤など、反感も買っている。自分が信頼を置いている人間の関心が得られないとがまんできず、ヒステリックな行動に出たりもする。
そんな困ったちゃんなのに、アンディにはなぜか一種の気品や気高さまでがあり、どんなに目立たなかろうと、ストーリーの流れとあべこべに泳いでいようと、その他キャラとはやはり常に一線を画した存在なのだ。

●感情
アンディはPALM屈指の感情派だ。とにかくまったくと言っていいほど論理的でないキャラクターなので、ひたすら本能と感情のおもむくままに、ご機嫌がななめになったり逆立ちしたりと忙しい。特に情緒不安定だった思春期のころは、オクヨルンに八つ当たりしてみたり泣きべそパンチに走ったりとたいへんだった。
ただ周囲と価値観がずれているので、みんなが深刻なときには意外にけろっとしていて、清涼剤になったりしている。

●頭脳
アンディは頭が悪い、という説はかなり濃厚である。いや本当は悪いのかどうかわからないが、あまり使っていないのは確かなようだ。ただ人間がマインドと呼んで使っているものが、ほんとうに脳みそだけかどうかは非常に疑わしく、アンディはその脳みそ以外のマインドが発達したタイプの人間らしい。いわゆるカンがいいというやつだ。
ヤマカン第六感インスピレーションのたぐいというのは結構バカにならない。通常の思考だと地球から月までてくてく歩いて行くところが、ワープ航法や、どこでもドアみたいな跳躍で一気到達可能だったりするからだ。そのお得な能力のおかげで、アンディはどうにかインテリ揃いのPALM主要陣の末席をゲットしている。

●特技
人は何かしら取り柄があるものだ。本当なら愛玩動物にでもなるしかないはずの役立たずの彼にも、芸術という才能がある。この降って沸いたような贈り物のおかげで、アンディの株は突如急騰。その晩年にはPALMキャラ中でもトップクラスの大物になるというから驚きだ。
具体的には彼は彫刻を中心としたマルチタイプのアーティスト。もともとは少年のころ、死んだお母さんを再生しようとしてアフリカで木を彫ったことからこの道に入った。カーターらの探偵業を手伝っていた下積み時代は、容疑者の似顔絵描きや、環境会議のロゴマーク描きのボランティアにも手を染めた。

●究極奥義
オバケが見える。アンディはなぜか心霊体質で、時々ジェームスの心の声が聞こえたり、サロニーのオバケとかを見たりしている。ただルージュメイアンみたいに年がら年中サイキックというのではなく、突然新しい能力に目覚めたり、逆に能力が消えたリを繰り返しているようだ。

●哲学
哲学の「て」の字とも縁がなさそうなアンディだが、信念が固い、または思い込みが強いという点では他のPALMキャラの誰にもひけはとらない。とにかく迷うということを知らないこの万年少年は、何を根拠にか頑固じいさんのように、ああすべき、こうあるべきと主張する。たとえピントが外れていても、信念ある主張は手強い。いい大人のPALM主要陣が押し切られることもしばしばだ。
アンディの哲学1
「俺たちはふつうだ。」
アンディの哲学2
フットボールはボールの取りあい、ロックは騒音、レズリーちゃん* は指じゃなくて、俺は馬じゃなくて、地球が丸いというのは何かの冗談。確かに俺はライオンじゃないけど、はっきりそう言われるとなぜか頭に来る
*「スタンダード・ディタイムSIDE-2」参照

●ウイット
PALMでは、ジェームスですらよくやっている「ウケを狙ってギャグを飛ばす」というようなことを、一切やらないのがこのアンディだ。その点ではサービス精神ゼロで、ウイットのかけらもない奴といえるのだが、真剣に思い違いをしてアンジェラに自転車をぶつけられたり、カーターをドライブに誘うなどなどして、数々の爆笑ギャグを生み出している。
アンディの場合、とにかく本人が真剣だからおかしい。彼にしてみれば自分でなく世の中のほうが奇々怪々なわけで、それがまんざらアンディの幻想ではなさそうなところがビターな隠し味といったところか。彼は斬新な発想で人をうならせることもできるが、彼の場合これをウイットと呼べるのかどうかは、ちょっと謎。

●嗜好
わがままなアンディにしては、意外に食べ物の好き嫌いはないようだが、アレルギー体質らしく、微量のアルコールで失神したり、薬物に過剰反応したりする。
オクヨルンに蜂蜜でナンパされたり、蜂蜜入りコーヒーを飲んだりしているらしいからかなりの蜂蜜好き(?)らしい。作者はなぜか「くまのプーさん」を見るとアンディを思い出してしまうのだが、やはり同じ蜂蜜好きだからであろうか?

●趣味
音楽。歌が上手で、楽器は何でもすぐ弾けるようになり、一時はロリスというバンドに参加してコンテストに参加しかけたりしたが、ふたつの動作をいっぺんにできないという欠点と、本人の情熱がいまいちだったため、趣味の域におさまった。

●弱点
前記の通りアルコールや薬物に弱い。ワイン一杯で気絶し、悪い奴らに麻薬を盛られたときは数日抜けなかったというから、飲酒に関しては「ザル」呼ばわりされて、ヘロイン漬けになっても妄想の合間に敵を釘で引っかいたりしてたカーターとは、同じ親戚でもだいぶ違うものだ。

●言葉遣いチェック
主張が激しいのであんまりそんな気はしないが、アンディは総じてかなり無口なほうだ。
育ちのせいで、人間とのコミュニケーションに慣れておらず、社交にも情熱がないので、会話というものが長続きしたためしがない。ただひとたび口を開くと、ジェームスもびっくりの言い切り調で、いかに場違いな発言であろうとも一瞬相手に反論をためらわせる。言葉遣いそのものはややぼくちゃん調で、かわいさ(とにくたらしさ)をとどめている。

●癖
机などに腕をついて突っ伏す。

●人相チェック
肌・金褐色、髪・黒、目・ターコイズブルー。アンディは、PALMの男性キャラクターでは非常に数の少ない、本格美形キャラクターである。つまり、始めから女性顔負けに「きれい」にデザインされたキャラクターで、他にはフリスやソア・レインなどがそういうデザインだ。(ジェームス、カーター、サロニーなどは男性味をより残すデザインとなっている)バサバサなまつ毛を始めとして、黒い肌、海のような青い大きな目など、非常に派手な造りで、まるでモデルさんのように目立って目立ってしょうがないという設定なのだが、PALMのアクの強いレギュラーピラミッドの中ではこれがなかなか目立たない。やはり人間顔ではないということか。

●身体チェック
身長189センチ。ジェームスと並んでかなり大柄なキャラだが、ボーイッシュなイメージのため、やや丸みを帯びた体つきに描かれている。チャームポイントは背中。

●服装チェック
あまり服装にバリエーションを求めるとはいえないPALMレギュラー陣の中で、最もいろいろな服を着ていると思われるのがこのアンディだ。また大体どんな格好でも似合うので、PALMではめずらしいベストドレッサータイプとも言える。なにしろターザンルックからレーサースタイルまで着こなしているから、黒装束一本のジェームスや、スーツしか着られないカーターとは比べようもない。
ただ凝った服を着たがるので、トーン処理など技法上最も手間のかかる、作者やアシスタント泣かせの趣味の持ち主でもある。

●持ち物チェック
そんなわけで、アンディはジェームスはもちろん、カーターなんかよりずっと衣装持ちである。
すねかじりの彼に、後見人のカーターと保護者のジェームスが、交互に服を買い与えているのかと思うと恐ろしい。アンディの誕生日に、お母さんの彫刻の頭飾りにとジェームスがサファイアなんか買い与えているのを見るとさらに恐い。初恋の人、オクヨルンには純金の腕輪を貢がれているし、ジャネットにライオンさんのぬいぐるみももらった。アンディの持ち物の中で最も実質的なのは、彫刻用のノミや槌。学校で彫刻を習いはじめた時に自己流で制作に使っていた斧は、現在部屋の飾りとなっている。

●体力チェック
体力はともかく、アンディはかなり運動神経がよさそうだ。たまに見せてくれる体操選手みたいなアクロバティックなアクションはなかなか華麗。ただ攻撃力はいまいちらしく、最後はジェームスに助けてもらい、「喧嘩とダンスは違う」なんて諭されたりしている。

●お歳はいくつ?
アンディはアンジェラより一つ年上、そしてボギー・ベンやラウルなどの同級生よりも同じく一つ年上だ。あのおっさんくさいジェームスと比べても、実は3歳しか年下ではない。思春期と初恋は19歳から20歳にかけて。思春期直前まで添い寝を必要とした。おそるべきピーターパン体質だ。

●セクシャル・オリエンテーション
とにかくおくてのアンディは、あやふやな時期が長かったということもあって、性指向の面では結構紛らわしい存在だ。オクヨルンの登場で思春期に突入したときは、同性のジェームスに憧れていたことからかなり激しく混乱し、フリスの助けを借りてゲイの世界にデビューしようとしたり、いろいろ試行錯誤してたみたいだ。現在はだいぶ落ち着いてオクヨルンとの関係に集中してきたようだが、なにかと予想外の行動が多い彼。将来が楽しみなような、恐ろしいような。

●世間の評判
世間の人たちとはおよそ無視し無視される関係にあるおみそのアンディだが、心霊的で、まあまあかわいいので、座敷わらしとか、マスコットのような存在ではある。
一番浮き方が激しかったのは、一年間通った高校生活中だったが、級友のラウル君みたいに妙にアンディに注目してしまう人もいた。またジェームスを筆頭に、音楽友だちのボアズや、家出したとき世話をしてくれたフリス、ラウルとの仲裁をしてくれたボギー・ベン、担任のシド・キャロル先生など、「面倒を見てくれる人」にはあまり不自由をしたことがない。魚心あれば水心か(????)。

●かなり失言
「先生(シド)なんか・・・。ビアトリスだってカーターだって、どうでもいいじゃないか。俺のことだけかまってうんぬん(中略)。俺にサロニーみたいな牙があれば、あいつらを殺してしまうのに・・・」
アンディの失言には時々笑えないものがある・・・

●仲良しは誰?
人間の中でアンディともっとも仲がよかったのは、言わずと知れたジェームス・ブライアンその人だ。
ジェームスはアンディが彼に会う前、幼少のアンディを半ば育てた雄ライオンのジェイクのいわば後任で、アンディのなかではジェームスとライオンのジェイクはややいっしょくたになっていて、ジェームスはアンディにジェイクと呼ばれていた。
アンディに心を砕いた父親のサミエル・グラスゴーや後見人のカーター・オーガスなどはいろいろ努力した割には従者くらいまでにしか出世しなかった感がある。ジェームスの次に対等の付き合いだったと思えるのは、バンドでいっしょだったボアズ・ウルマンと、ジェームスの死後親友となったカーターの妹のジョイ。生涯なんとなく馬が合わずに毛嫌いの対象だったのは、あのフロイド・アダムスである。

●占いデータ
ライフナンバー1、太陽宮獅子座、上昇魚座、月の位置射手座、うさぎ年生まれ。
獅子座太陽宮と射手座の月のコンビネーションは歯に衣着せぬ物言い、魚座上昇は心霊体質を生む。ライフナンバー1は生まれながらの王子様。獅子、射手など火の宮の1は特に好感度が強く、生涯にわたって周囲の暖かい支持に恵まれるとされる。
ジェームスが不動宮、カーターが攻撃宮の影響を強く受けているのに対し、アンディのホロスコープは融通宮のウエイトが大きく、ややはかなげで、非現実的なイメージを生みだしている。

●そこまで言うか
「彼と男同士で肛門セックスしようと決心したけど、やっぱりこわくてだめなんだ!」
そうですか・・・

●よくよく見れば
不器用
アンディは不器用だ。生き方が不器用とかそういうことではなく(生き方も不器用だが)、本当にただ単に不器用なのだ。特に同時に二つ以上の操作を一度にするのが苦手らしく、車の運転がなかなか覚えられなかったり、得意な音楽方面でも、弾き語りができなかったりする(別々にすれば歌って弾ける)。射撃はてんで的に当たらない。芸術家で、絵や彫刻は上手いのに変だが、まあ結構ありがちなことかも知れない。

●ナンパされやすい男の子ナンバーワン?
アンディに恋愛遍歴が始まったのは20歳からだが、それ以前にも、女性のほうからかなりひんぱんにお声がかかっている。
まず生涯ではじめて出会った血族以外の異性と思われるオクヨルンに結婚を申し込まれているし、ロスのオーガス家に来てすぐ、いきなり有閑マダムのビアトリスにモーションをかけられている。学校のパーティでもレズリーとかいう女の子にナンパされてたし、ディスコで知らないかわい子ちゃんにキスされてたし、ちょっと行ってみたゲイクラブでもさっそくお友だちができそうになり、あやうく喧嘩騒ぎとなるところだった。どうしてそんなに誘われやすいの?


出演作品
PALM
金銀熊鮫
2821コカコーラ

「2821コカコーラ」で二重人格役を演じたことはあるが、アンディはなぜかどんな役をやっても基本的にあまりイメージの変わらないキャラクターである。ただ本人役の中では逆にイメージが一定しないことでもおなじみで、使いやすいような、そうでもないような、という変な存在なのだ。
そういえば「2821コカコーラ」ではどう見ても似合わない刺繍なんかをしていたけれど、そのわりにインパクトは薄い。もしかしたら上記の3作以外にも出演作があったかも知れないが、作者は覚えていない・・・。 それより印象的だったのは、PALMの中のコンゲームで俳優役をやって演じた「極点の王子様」で、思わぬ名演に、騙すカーターたちや、騙されるレビンさんを唸らせていた。

●作者ひいき度
PALM御三家にまで入っているアンディだが、彼は作者にそんなに好かれていない(特に嫌われてもいませんが)。これは、彼が作者のエゴとか、芸術家の一面を体現するキャラクターなせいであろうと思われる。
キャラクターというのは、どんな端役でも、作者の一部を体現して生まれてくるものだが、自我という面では現在のところ、実はこのアンディが作者に最も近いキャラなのだ。その結果自己中心的、傲慢、わがまま、社会不適合といった特にあまり好ましくない部分の象徴キャラクターともなっているわけで、どうもひとつのキャラクター、あるいは他人と考えたときにはうざったいのだろう。ただ原始的な自分の姿というのは、むき出しでお下劣であると同時に単純で見通しがよくもある。アンディの姿を見ると、自分と作品の、生涯に渡るパートナーシップの全景が、はじめと終わりを含めて一望できるのだ。

●アンディファン
作者はもちろん全部のアンディファンを知っているわけではないが、作者の知っているアンディファンはなぜかみな「かわい系」だ。もうなんでこんなかわいい子がPALMなんか読んでるのかしら(?!)と思ってしまうほどかわいい。子供が大好きだったり、時にはフリルのお洋服が似合ったり、おとめチック漫画が描けてしまったりするほどのかわいさだ。手が届かない世界へのあこがれと自覚しつつも、作者はアンディファンが大好きである。

●アシスタントさんの評判
アンディはアシスタントさんの評判が最も悪いキャラだ。なにしろアシスタントさんの手を借りる部分が最も多いキャラなので、アンディがどれくらいページ内に登場しているかで、仕事の大変さが違ってくるのだ。元々アンディ支持派だったアシスタントさんも、彼のうねうねした髪をふちどってベタを塗り、顔や手に81番のアミトーンを張っているうちに彼に拒否反応を示すようになる。

●読者のつけたあだ名
カレーの王子様

●ある読者の彼への評価
「近所にいたらじゃま。」

1999年3月