1976年、作者アマチュア時代の投稿作品の準主役として誕生した、フロイド・アダムスと同じグループに属する第3世代キャラだ。作家デビュー後初めての短編「カインド・マシン」のロボット役でお目見え。そのユニークさで、短編キャラクターとしてはダントツの人気を誇る。 
        のちにPALM「愛でなく」でも,同じケリー・ロジャースという名でレギュラーとして登場するが、印象の強さでデビュー作の「カインド・マシン」を所属作とした。正し生年月日はPALM用に設定されたもの。 
         最初に断っておかなくてはならないが、「カインド・マシン」が所属作だとすると、彼は人間でなくてロボット、ということになる。 
          性別(?)は男性、国籍(?)は所属作、PALM共アメリカになるらしいが、投稿作品で、ケリー・ロジャースの名前ではじめにデザインされたときは、イギリス人だった。これは作品の舞台が珍しくイギリスだったためだが、作品はまた、珍しい4コマ風の構成だった。彼のポップなキャラクター生成に、少し関係があるかも知れない。 
          ●性格 
          ケリー・ロジャースはどの作品に出てもケリー・ロジャースだ。 
          ロボット役だろうが、人間だろうが、そのキャラクターは変わらない。作品のイメージがどうだろうと、彼が登場すると、いやおうなくその場の雰囲気が変わる。 
          常識も話の流れも脈絡も一切関係ない。彼はスターだ。マスクだ。オペラ歌手だ。歌って踊ってすべてを解決する、どこかのミュージシャンやディズニーキャラのように、声高々に歌い、語り、浪花節で泣き落とす。 
          彼の個性をあらわす言葉は「ファンキー」「ポップ」「未来的」「前衛的」「サイケデリック」「かっとび」などなど。いろんな意味で、他のキャラクターの追随を許さないところがある。 
           
          ●言葉遣いチェック 
          言葉遣い自体は比較的普通なのだが、彼のしゃべりには独特のメロディがある。いつも「ヨーレイヒ〜〜〜」と歌っているように見える。そしてなぜか司会者・解説者風の語り口だ。両手を広げたオープンなモーションがこれを強調する。 
          生きるべきか、死ぬべきか?あなたはなぜロミオなの?意味があってもなくても、そのセリフは心地よく響く。インパクトの割に、過激な言い回しや単語を使わないのが大きな特徴。自分のことも、かわいく僕という。 
           
          ●感情 
          ケリー・ロジャースはとってもエモーショナルなキャラだ。すごく涙もろいことはおなじみだが、嬉しいときの感情表現や、愛情表現もこれまた大げさだ。そして彼は決して怒らない。こんなに非暴力的キャラなのに、その点ではなぜか殺人鬼エティアス・サロニーと同じなのだ。 
           
          ●特技 
          <お料理> 
          「カインド・マシン」ではお料理の得意なことが売りだった彼だが、PALMでもまた「僕は料理もうまいし・・・」と結婚をためらうアイリーンちゃんを説得していた。 
          女性である作者の潜在的願望なのか、獸木野生作品にはたまに料理の得意な男性が登場する。このケリーさんや、「2821・・・」のロディ・シモンズ、また上手なのかどうかはともかく、料理をするアクション・ヒーロー(こんな風に書くとなんか「沈黙の戦艦」のケイシー・ライバックみたいですが)のJ・Bなど。そういえばケリーさんはシェフの帽子も似合いそうな気が・・・ 
           
          ●究極奥義 
          <高らかに愛の歌> 
          クサいセリフを声高に連発して相手を口説き落とす彼。涙も重要な小道具。考えてみれば、シャイな(?)他の男性陣に比べると、かなり女性に積極的なキャラとも言える。しかもいっつも純愛路線。それに考えてみたら相当しつこい。こんなにおもしろいキャラでなかったら、ストーカーになっていたかも? 
           
          ●哲学 
          純情こそが哲学(??)の優しい機械の彼だが、PALMで環境団体の支部長をやってくれたことで、日本では耳慣れない色々な主義主張の看板が、彼と彼の周辺に続々登場。 
          本人の言によると、彼はエコロジスト兼アンチ・レイシスト(反人種差別主義者)だそうだ。フォアウッドからすると、ケリーさんのような人たちはアナーキスト(無政府主義者)で、そういうフォアウッドをカーターはファシスト(独裁的国粋主義者)となじり、怒るカーターをフロイドは、コスモポリタン(世界主義者)とアナーキストの違いもわからんバカなんかほっとけとなだめる。さあもうわからない。 
          とにかく目新しいところで、アンチ・レイシスト&レイシスト(人種差別主義者)という言葉はセットで覚えておきましょう。 
           
          ●人相・身体チェック 
          <目がない!?> 
          ケリー・ロジャースには目がない。誕生したとき、そもそも目をデザインしてもらえなかったのだ。デビュー作の「カインド・マシン」では、グラサンの下はむき出しのメカだった。 
          そして実はないのは目だけではない。眉毛もないのだ。「あるじゃないか、目の上のあれはなんだ?!」と、お思いの方、あれは目の上の盛り上がった部分のシワ(くぼみ)なのだ〜。眉の下の筋肉だから、当然表情によって眉と同じように動いて喜怒哀楽を表現する。とにかくやっぱり普通の人ではない。 
          他には短い鼻と、しっかりした顎が特徴。髪形は考えてみたらカーターと同じ「スケベ分け」。身長はジェームスと同じくらいとかなり大柄だ。 
           
          ●服装チェック 
          服の趣味がトンでることでは、なかなか彼に並ぶキャラはいない。60年代サイケデリック調とまではいかないが、スーツを模したTシャツとか、カラフルな水玉のタイに同じくカラフルなストライプのシャツなど、固い職場に来ていったらクビになりそうなスタイルが基調だ。ちょっと道化師入ってるかも知れない。 
           
          ●セクシャル・オリエンテーション 
          ケリー・ロジャースくらい青臭いことが似合わないキャラもいないが、まあベースがロボットだから無理もない。こんなに愛情深いのに(でもって結構ハンサムなのに)、ちっとも色っぽくないというのも珍しい。やっぱり愛とセックスは別物なのかもにゃ〜 
           
          ●ちょっと失敬 
          とっても非暴力的な彼だが、暴力を働いたことがないわけではない。所属作の「カインド・マシン」では、悪い奴らに墓石を投げつけるという怪力技で応戦している。しかも、墓石にはJ・Bの名前が・・・。なんて罰当たりな。ちなみにPALMは作者の心の中では「墓石マンガ」と呼ばれています。J・Bの墓石を凶器にするなんて、PALMを別の用途に使うようなもの??ケリーさん唯一の汚点でした。 
           
          ●お歳はいくつ? 
          PALM用に設定された年齢だと、ケリーさんはカーターより二つ年下、「愛でなく」の時点で32才。PALMの主要登場人物の7割は占めるだろうと思われる、中年の部類です。 
           
          ●占いデータ 
          ライフナンバー4、太陽宮水瓶座、月の位置牡牛座、兎年生まれ(アンディより一回り上)。彼の誕生日2月13日は、なぜかPALMシリーズの誕生日でもある。 
          超人類的センスの水瓶と、学者肌のライフナンバー4の組み合わせは典型的な研究者哲学者の配置。しかも4にしては垢抜けた、明るい雰囲気をかもすことのあるコンビネーション。なぜか月の位置はJ・Bと同じ牡牛座。双方ちょっと暑苦しいところは、ここから来てるのかも知れません・・・ 
          
          
        ● 
         カインド・マシン 
        金銀熊鮫 
        2821コカコーラ 
        PALM 
        THE WORLD   
         
         ○所属作「カインド・マシン」と、「愛でなく」でレギュラー出演だったPALMの他に、「2821コカコーラ」でもコカコーラ・ジンジャン(アンディ)の義父バート・オリアリー役で活躍。相変わらず同じノリだったが、設定は元過激派の軍人という珍しい(?)役どころ。 
          この「コカコーラ・・・」といい、PALMといい、彼の役は作品の中でも扱いの難しいポジションが多いのだが、彼が演るとそんなことはさておいて、彼の独壇場になってしまうのであった。恐るべし、ケリー・ロジャース。またの登場に期待。 
          ちなみに「金銀熊鮫」ではチョイ役で、ジェームス演じる鮫男兄さんの手下をやってました。麻雀してたみたい。 
           
          2000年4月5日 
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