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 INTERVIEW  (1994.06.11) シーナ (BERO)

前書き|インタビュー|


 SHEENA

Interview [1994年6月11日14:00〜]


●シーナをROCKの世界に導いたものは?
     好奇心。
●ROCKの世界は特別の世界だと思いますか?
    私たちにしてみれば、普通の世界なんだけど…。
    ROCKの世界の中にずっといるからね。素敵な世界だと思うわ。
●ROCKの世界で女性差別を感じますか?
    う〜ん。それはROCKの世界に限らず、全てにあるんじゃないかしら? 悔しいと感じるときもあるけど、得することもあるしね。スパンコールやミニスカートだって着れるし(笑)。 男だったら、できなじゃない。
●BANDを止めたいと思ったことは?
    あるよ。
    う〜ん…、あるけど、まだやりたいこと、やらなくちゃいけないことがあるからこそ、そう思えるのかもしれない。
●挫折したときの対処法は?
    ないよ、そんなもの(笑)。落ち込んだら、それを楽しんじゃうわ。 そういうのって次の活力になるから必要だと思う。だから無理に這い上がったりしなくていいと思う。
●最も影響を受けた人物は?
    マコ。
●初めて鮎川誠に接したときの印象は?
    ROCKそのもの。反社会派というか…、そういうイメージが漂ってたわね。それと世間嫌いな感じ。
●その後、印象は変わりましたか?
    今も根本的に変わってないけど、いろんな面で大きくなったように思う。
●最も気になるボーカリストは?
    そりゃ、シーナよ。(笑)。だって、私以外の人が、シーナみたいに頑張ってたら悔しいと思う。
    私は「私でよかった」って思うもの。
●SHEENA&THE ROKKETSの昔の曲を聴いて、変化など感じますか?
    うん、感じるときもある。昔の自分のほうがいいかもしれないよ。
    デビュー当時のように、今歌えないわ。でも、そういうものに嫉妬してもしょうがないでしょ。
●ROCKを続けるために、何か特別の努力をしていますか?
    努力したいね(笑)。今からの問題ね。
●ROCKをやっていくのに年齢は関係しますか?
    二十歳になったとき「18のときは若かった」って思った。そして30になったとき、「二十歳のときは若かった」って思ったわ。
    じゃ、60になったとき、50の頃を振り返って「あのころは若かった」って言うと思うの。だから、いつも若いって思ってる。
●プライベートな質問をさせていただきます。
母のときのシーナは?
    いろんな面を持ってる。叱ったり、一緒に遊んだり…。遊ぶときは友達みたいになってるわね。 私の方が子供みたいになってしまうときもあるわ。
●妻のときのシーナ?
    わかんないよぉ(笑)。彼の友達、親戚、みんなと仲良くしてるから、合格だと思う。
●ロッカーのときのシーナは?
    恐いよ(笑)。キレルからね。一番自分を押さえないで、自分に正直にいられるときかなぁ。
    アンテナを常に敏感な状態にするためにも、余計なことは考えずに、無邪気になってるよ。
●父親としての鮎川誠は?
    恐いよ〜(笑)。間違ったことは絶対に教えない父親。でも、父親のわがままもちゃんと教えてる。
    感情をストレートに子供たちにぶつけるし、弱い父親じゃないわね。
●夫としての鮎川誠は?
    やさしい。私を叱ることはないわね。子供たちを叱ってるとこ見て、こんなふうに私が叱られたらヤダナーとか思ったりする(笑)。
●ロッカー・鮎川誠は?
    厳しい。そして、いつも正しい意見、正しい方向を私に教えてくれるわ。
●デビューによって変化しましたか?
    デビューとは直接関係ないんだけど、そのころからよく神様に祈るようになったわね。
    デビューの頃、マコのお母さんが亡くなったの。最初のステージに出るとき、お母さんの写真を見て祈ったわ…。
    そして、サングラスをかけ、ステージに上がったの。それからは、何かあると祈ってるわね。
●結婚によって何が変化しましたか?
    親戚が増えた(笑)。
●鮎川との子供ができたとわかったとき?
    興奮して眠れなかったわ。
●出産はロッカーである自分のイメージに何か影響すると考えませんでしたか?
    不安はなかった。
    子供ができたってことがパワーになったわ。今も、子供がいるってことでエネルギーになるの。
●子供たちの反抗期はありましたか?
    それはないけど。一度、子供から「不良!」とか言われちゃって(笑)。
    それで、ムチャクチャ叱ったことあった。「どこが不良なの」って。それぐらいかな。でも、私にROCKを止めて欲しいとは思ってないと思うわ。
●ロッカーという仕事を、子供たちにどうやって説明しましたか?
    改まって説明したことはないわね。
    産まれたときから、曲作ったり、歌ったり、音楽が流れたりするのを見て聴いて育ってるから…。
    子供が幼稚園のころ、ママの絵を描くときは、私はいつも女王様のようになってたわね(笑)。 王冠をかぶってるの。それからね、口からいろんな色のシャボン玉が出てる絵もあった。歌を歌っているママを表現してくれたのね。 素敵な絵だなーって思った。最高に誉められたかなって…。
●私生活も仕事も同じということで鮎川誠と24時間一緒に過ごされていますが、気分の切り替えなど必要ですか?
    そうね。全部一緒ね。
    でも、切り替えは必要ないの。二人の間は時間の中で、あまり区別がないから。ROCKも家庭も生活そのものなの。
●もし、鮎川誠以外の人と出会って結婚していたら?
    う〜ん、他の人だと満足できないと思うから考えたことないわ。
●鮎川誠と夫婦ではなかったら、SHEENA&THE ROKKETSのイメージは変わっていたと思いますか?
    私自身、今みたいに素直に歌えないと思うから、きっと違ったイメージになるんじゃないかしら。他人同士だったら、いまみたいには歌えない…。
    でも、もし、他人だとしても、きっといつか一緒になると思うわ。



福岡のクロッシングホールでのコンサートの次の日、タイトなスケジュールのなか、時間を作ってくれたシーナ。
彼女の言葉ひとつひとつから、家庭を愛し、ROCKを愛していることが伝わってくる。
そして、それは鮎川の存在があるからこそ、ということも。
鮎川と出会わなかったら今の自分はいない…と素直に認める彼女の顔に、逆説的な自信が表れていた。

つい見逃しがちだが、和製とかなんとか、いいわけの必要ない、女性ROCKボーカリストが他にいるだろうか。
大音響の生々しいライブのサウンドに相応しい女性が他にいるだろうか?
鮎川と出会ったシーナは、日本のROCKシーンに唯一の女性の歴史を刻み続けている女性ではないのか。

シーナは今まで誰もできなかったことを、華やかに、パワフルに成し遂げていく。
そんな素敵な歴史を刻んでいることに、彼女は気付いているのだろうか?
「そんなの、関係ないわ」と彼女は笑うだろうか? なぜなら、ROCKはシーナにとって生活そのものだから。
彼女がシーナである限り、そのしなやかな歴史は時計の針が刻んでくれる。



●最後の質問です。
シーナにとって家族とは?
    大切なもの。
●シーナにとって鮎川誠とは?
    難しいわね(笑)。………、私の先生っ(笑)

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