個展開催中、多くの友人・知人が集まってきた。まるで、ここはコンサート会場の控え室のような状態だ。
そんな中、親しい者同志の笑い声の間を擦り抜けるように作品を見てまわる人もいる。
多分、他の階で開催されている個展に来た人だ。
明らかに他の階と異なる雰囲気のフロアーに戸惑いながらも、興味が優先し、勇気を出して階段を上がって来たのだろう。
記帳しながら、そっとまわりをうかがっている。
ライブハウスの雰囲気を静粛な画廊に持ち込んだ、その主催者は、そんなマダムに気づくと、マダムの側に近づき挨拶を行なう。
そこに飾られている作品とイメージが一致する人物が目の前に現れた驚きを一生懸命隠そうとするマダムと、いくつか会話が交される。
そのうち、会話が笑い声に代わる。そして、マダムはゆっくりと作品を最後まで見ていった。
山善があちこちで、来場者の方々に作品を説明する姿を見守る家族の姿もいつもの風景である。
両親、兄弟、そして昨年結婚した妻。
山善は、あたたかい家族、そして素敵な友人達に囲まれていた。
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