今回のツアーは、当初行く予定など全くなかった。
これまで過去2度のジャパンツアーは、其のつど足を運び感涙しては大騒ぎしたものだが、Voodoo Lounge Tour 以降、俺のターンテブルの上で奴らのレコードが回る事はなかった。そして、B.T.B にも関心がなく一度も耳にしたことがなかった。
なぜなら、俺自身がSTONES からもR&R からも全く別の世界で生息していたためだ。
この要因を作った一人としてKeithがいる。
10数年前、KeithやJoe Strummer(CLASH) の影響で、REGGAE の世界に足を踏み入れた。その頃、周りの奴らはREGGAEをケダルいリズムと言って全く興味を持たなかったが、俺は、完全にハマってしまった。
しかし、その頃は、まだ俺のR&R 魂には熱い火が燃えまくっていた。
つまり、VELVET UNDERGROUND を聴いた後でも何の違和感もなく、Bob Malrey を流していたという状況である。
まあ、どっちもガンジャがよくマッチするからかもしれないが....
そして、LONDON KNIGHTというイベント に影響を受け、DJ なるものを始めてしまった。
当時俺は、R&R やPUNK をスクラッチ (※1)していたというイカレタ野郎だった。
しかし、周囲にREGGAE を回す奴が少なくて、「俺はこっちの方面も得意だから俺が回すよ」って言ってしまったことが、俺をR&R から更に遠ざける事となろうとは…。
そう、毎日がREGGAE 漬けになってしまい、頭の中はラスタカラーで覆われてしまったのだった。
REGGAE BAR に頻繁に出入りするようになり、DJ (※2)やSELECTOR(※3) の奴らと一緒にいることが多くなり、つきあう彼女もドレッド の娘だった。
いつしか世の中はCLUB 系の音が段々ともてはやされるような市場となっていった。
街中の店先でも、TV CM やドラマのBGM でもREGGAE が頻繁に使われるようになり、「夏はビールとREGGAE さっ」とそこらのリーマンまで勘違いな事言い出すようになる始末だ。REGGAE もビールも一年中楽しめるんだよ。REGGAEはただの季節音楽じゃねえんだよ。バーカ!
一部のマスメディアがREGGAEを漂った煽り方するもんだから、ジャパスプ(※4)に行ってもDANCE HALL(※5)しか知らないアホなマナー知らずのガキばかりが増えてしまったのだ。そんな時期に、俺に衝撃を与えたのが当時イギリスで流行っていたACID JAZZ である。これは強烈だった。とにかく格好良いのである。まさにBE COOL!
いつしか俺はBE BOP なスタイルへと変化していた。そうなるとLIVE HOUSE にも行かなくなり、CLUB に入りびたっているような俺にとっては、STONES もR&R もはるか2000光年の彼方に存在していた。