NO.14 「映画どあい好き/趣味に走った映画編」 2000年10月号

ちっともご好評の映画特集第2弾です!
「趣味に走った」というタイトルで、みなさんが思い描くイメージを想像してみようと試しましたが、こういった語意に関して、日ごろからみなさんと少々のズレを感じている獸木の趣味は、おそらくヘン・・・
第1弾のまじめな名作編に続き、今回はそんなおそらく変な趣味の獸木の本能や欲求を、あまり深いレベルでなくくすぐる、獸木にとって俗な映画をピックアップしてみました。

その映画を観ていなければさっぱりわからん上、映画ファンには個人的過ぎる内容で、コメントもあまりまじめではありません。またいわゆるネタバレに関する配慮もすっぽかしてありますので、真剣な映画ファンの方や、映画に全然興味のない方は、以下のコードに引っ掛かる内容であることをあらかじめご了承ください。

<つわみR18+>
(つまらん/わからん/見なきゃよかった
/ RESTRICTED ADULTS OVER 18 YEARS
/ HIGH LEVEL VIOLENCE AND ADULT THEMES )

映画好きの獸木の愛犬、ルビー・ブラック号
<記事とは全く関係ありません/Photo by Yasay Kemonogi>

 

●食欲がわく映画
ジュラシック・パーク
この映画は、個人的なえこひいきで前回の「ファイブスター編」に入れるところだった作品。映画のラスト、あのペリカンみたいな鳥がヘリの横を飛んでいるシーンで、「ああ、恐竜は鳥になったのねえ・・・」としんみり涙を流していた獸木は、ふと周囲を見回して、会場全体が「恐竜が今の時代にいなくてよかった・・・」というオーラに包まれていたことに初めて気付く。

上記のような感動のあるなしにかかわらず、恐竜映画を観ると獸木はものすごい空腹に襲われる。なんと言っても全編「食べる」ことに終始するグルメ映画なのだから無理もないが、特にお肉に食らい付いてブン回し、引きちぎり、むさぼり食うティラノなんかを見ていると、もお矢も楯もたまらない。
「ジュラパ」を劇場に見に行った後は、近くの「ドトール」に駆け込んで、あっけにとられる後片付け係のお兄さんを目じりに捕えながらローストビーフ・サンドイッチをがぶがぶ食い
(他の自分より弱い肉食動物におこぼれを待たれているような気がして、雰囲気倍増でした)
「待ってません」<お兄さん談>)
、ディズニーの「ダイナソーズ」を見に行った後は、映画館下のフード・コートでポークチョップ・ヌードルのでかい骨付きバーベキューポーク2個をがつがつ食べた(ニンニクショウガ味でたいへんおいしゅうございました)。

恐竜映画を観て、肉をむさぼり食う。
ああ、なんという幸せ・・・

しかし同じグルメ映画でも、なぜか「ジョーズ」とか「バタリアン」では空腹を感じないし、動物番組でライオンが6人くらいメザシのように寝転んで、インパラかなんかをガブガブやっていても何てことはないから、ティラノ様にはやはり特別なインパクトがあるのでせう。

 

●女がキレイ(またはセクスィ〜)
ポカホンタス
どこでもあんまり受けてなかったような気がするディズニーの「ポカホンタス」、ぢつは、オープニングの、ジョンが「どこも同じようなものさ」と言ってからインディアンの生活が描写されるタイトル場面で、今でもトリハダが立ってしまうほど個人的に好きな小作品。

で、ポカホンタスがめちゃめちゃ美しい・・・。描いている人が、いかにも「ボク、もお惚れきってます」という感じのリキの入りようで、ディズニーの作品の中でもあの「シンデレラ」に比類する美女キャラなのではと、ジョンとの出会いのシーンを巻き戻して観ながら思う(でもインディアンというより中国人女優のジョアン・チェンに似てるのはなぜ?)。

知人のたかえるさんからの情報では、日本ではなぜかアジア系のデフォルメが評判悪くて、「ポカホンタス」とか「ムーラン」は「キャラの顔がいやで映画を見ない」人も多いとか。いちど動くところを見てくださえよ。
ただこの「ポカホンタス」も「シンデレラ」も、相手役が一般水準より没個性的な気がするのは、女が美しい映画の常なのか、それとも単なる気のせいか?
「ポカホンタス」のお相手は名前からして「ジョン・スミス」さんだし、シンデレラの王子様なんか「目と鼻と口があって、王子でさえあれば何でもよろしい」というようなデザインだったしねえ・・・

氷の微笑
なんだかよくわからないけど、とにかくシャロン・ストーンがセクシーだったこの映画。きっとわたしだけでなく誰が見ても、彼女のセクシー・ダイナマイトぶりで頭がふっとんでしまうのだろう。
テレビの洋画劇場で、セックス・シーンをことごとくカットした「氷の微笑」が放映されたときもぶっとびましたが・・・セックス・シーン抜きの「氷の微笑」。よくそんなもの放映する気になれますね。
それにしても、マイケル・ダグラスってどうしていつもセックスでアブナイ目にあう役ばかりやっているのかな?

 

●男(またはその一部)がイカス
美女と野獣
「美女と野獣」はディズニーの最高傑作で、獸木も「ファイブスター編」に入れようかと迷ったくらい好きな作品だが、原作を知らなかったわたしは「美女と野獣」というタイトルは「単なる物の例え」だと思い込んでいた。
だから本当に「野獣」が登場して、吠えたり、四つ足で歩ったりしたときは、歓びのあまりハートが四方八方に飛び散り状態。
「あのがステキ!」「あの毛皮がステキ!」「お顔までびっちり毛だらけなんて・・・」「ああ、尻尾もおありなのね・・・」と、もお野獣様に首ったけ。
それだけに、野獣様がどこの馬の骨ともわからん男にトランスフォームしてしまったラストのショックも絶大だった。
一瞬「お前誰や?!」という顔をして彼を見るベルちゃんに、思わず「わかる!わかる!」と共感。
でもそうだよね。「毛深くない」とか「牙がない」とかいう外見だけで男を判断するなんて、いけないことだよね・・・

ジャン・クロード・バンダムもの
もうタイトルさえ覚えていないが、パソコンゲームのような内容のよくわからない映画でバンダム様の御身足に一目ぼれして以来、しばらく彼の(足の)追っかけをした獸木。
「バンダム様見たさに、ついには『ストリート・ファイター』まで観ちゃったよ。」と当時のアシスタントさんに打ち明けたところ、
「ファンとはありがたいものですね・・・」
休暇でオーストラリアに来られたとき、無精髭、よれよれTシャツといういでたちで、地元のワイドショーに出演されてたバンダム様は、用意されたケーキの上のろうそくを足蹴りで(ケーキを壊さず)消すまで、ちょっと本物の彼とは思えませんでした(近所でおうち作ってるローカルおじさんかと思いました)。
バンダム様初体験の方には、「ユニバーサル・ソルジャー」や「タイムコップ」が「観てもそう損はない」と申し上げられるギリギリのところでしょうか・・・しくしく・・・。
それでも獸木は「ユニバーサル・ソルジャー」で飯をむさぼり食っても愛らしいバンダム様の虜でした(しばらくの間)。

 

●女がつええ
ターミネーター2
「サラ」なんて、ええとこのお嬢さんみたいな名前して、あの母ちゃんはつおかったですね。見ました?あの懸垂・・・。敵のターミネーターが母ちゃんに化けたとき、性格の悪さで「こっちが本物の母ちゃんだ!」と子供のジョン君が気付くとこには笑いました。

エイリアン2
リプリーの無敵なのは有名だが、そういえばこの作品も「ターミネーター2」もジェームス・キャメロン作品。「タイタニック」も女強かったし、監督の女性像なんでしょうか? 重火器2個を粘着テープでくっつけて背負い、
「うちの子に手を出さないでよ!」 「ズガガガガ!!!」。 うーん、つええ・・・

風の谷のナウシカ
ご存知不朽の名作だが、女がつおい映画の走りとしても獸木の印象に残っている。たしかまだジェームス・キャメロンものなんかも世に躍り出る前で、めずらしい設定だったのでは?
腹に力の入った声で「てえ!!(撃て!)」とコマンドし、敵兵をバッタバッタとぶった切るナウシカとか(そしてそのあと「自分がこわい・・・」とか言って肩をふるわしる・・・)、「やめんか!!」 「バコ!」と兵士をぶんなぐるクシャナさんとかが新鮮でした。

 

●男がつええ(またはすげえ)
スティーブン・セガールもの
アクション映画で男が強いのは当たり前だが、セガール先生は一般的にも「負ける気がしない」 「ピンチになりようがない」ことで名高い。合気道でほんとに鍛えてるとはいえ、なんでああも見るからに強そうなのか?武器も持たずに両手だらん状態で、敵に向かってとろとろ歩いてゆくだけで、ぬりカベのような迫力・・・
出演作は当たり外れがあって、しかもどれも「沈黙」というタイトルがついてるので見分けにくいが、「沈黙の戦艦」「暴走特急」あたりがおすすめです。セガール・アクションが目当ての場合は「エグゼクティブ・デシジョン」だけは観ないように。師範、活躍なさる前にリタイアされてしまいます。

ジャッキー・チェンもの
獸木の友だちに「香港映画(カンフー映画)って、ストーリーがわけわかんないから観られない!」というワガママ者がおりますが、そりゃあカンフー映画でストーリーを追うのは、PALMの中に「やおい」を捜すようなもんというか、牡牛で乳搾りをするようなもんというか、青森のリンゴ園でタスマニアン・タイガー狩りをするようなもんというか、ないソデは振れんだろというか、まあないものねだりはいけないわけですネ。

ジャッキーは「つええ」というよりは「すげえ」というイメージだが、いくらかフィルムを早回しにしてるといったって、あの技とスピードは人間業じゃない。映画の本数だって40何本だかって、来濠したバンダム様が言ってたし(事実は定かでありません。でもメチャ多いのは確か)、年中怪我ばっかしてるみたいだし、第一あの人何歳なの・・・?
そんなことに感心しつつ、ビデオを巻き戻して「キサマは人間か!」とか合いの手入れながら技を堪能しましょう。NG集も楽しみのひとつ。
ちなみにメルボルンが舞台の「ミスター・ナイスガイ」では、名物の観光馬車が暴走し、見慣れたお店や看板とかが次々ぶっ壊されてて肝を潰しました。撮影後に再建したんでしょうなあ。

L.A.コンフィデンシャル(ラッセル・クロウがつええ)
最近「グラディエーター」の「強者役」で頭角を現しているラッセル・クロウ、同じく最近注目の人になったケビン・スペイシーなんかといっしょに出ているこの映画でも「なにがなんだかわからんが、やたらと強い」役どころ。
木製の椅子の背を、ぐいっと握って「バキッ!」、ドアはノブなんか使わずに「バコッ!」、もちろん人間なんか「ズボ!」「ガキッ!」「ボコボコボコボコボコボコ!!!」
まあシュワちゃんなんか、電話ボックスを倒したり車を持ち上げたりしてるからもっとすごいのかも知れないけど、あの人は人造人間ですから比較しちゃいけませんね。
思えば大した技もないのに「L.A.コンフィデンシャル」のラッセル・クロウがやたら強く見えるのは、やっつけてる相手がみんな「暴力亭主」とか「強姦犯」だったりするからかも。一家に一台とは言わんけど、ご町内にひとりくらいはいてほしいかも、こういう人・・・

ちなみにラッセル・クロウはオーストラリア人だそうで、オーストラリアのビデオ解説には誇らしげに「オーストラリアのラッセル・クロウ」と書いてあった。
(ついでながらトム・クルーズは「オーストラリアの婿養子」と言われている<オーストラリア国内有効>奥さんのニコール・キッドマンがオーストラリア人だから・・・。)

ディズニーのターザン
ターザン・フリークの獸木にとっては、例えターザンがワキ毛を剃っていようが、床屋に行っていようが、ターザンであればそれでオッケーなのだが、木上サーフィン(ん?スケボー?)をやってのけるこのターザンには恐れ入りました・・・
そもそもアニメと実写では動きの比較などしようもないが、「果てしなく動物に近い」アクションはまさしくアニメならではのもの。ただ有名な「ア〜アア〜」の声が人間の肉声になってたのがイマイチだったかも(オリジナルは動物の声などの合成音らしい)。
実写では「グレイストーク」のクリストファー・ランバートと、「ジャングル・ジョージ」のブレンダン・フレーザーのお猿モーションがイケてます。

 

●このキャラが最高
逃亡者(ジェラードが最高)
獸木の母がファンだったという、デビッド・ジャンセンのテレビシリーズは観たことないけれど、サミュエル・ジェラードは「無実のキンブルを追いかけていぢめるいやな奴」というイメージがあった。この映画を観て大逆転。うーん、トミー・リー・ジョーンズ(ジェラード)、かっこええぞ。主役はハリソン・フォードじゃなかったのか?

特にこの映画が公開されたのが、「オールスター・プロジェクト」連載完了後くらいだったので、「このおっさん、まるでうちのフロイドみたいやんけ。」と大喜び(そんなわけでフロイドファンの方にはかなりおすすめです)。勢い込んで他のトミー・リー・ジョーンズ出演作品を追い掛けて、少々コケたりもした。

この映画でジェラードがあんまりかっこよかったので、のちに「追跡者」なる「逃亡者」のリチャード・キンブル抜き版というすごいものができただけでなく(ほんにすごいですね・・・そんなんアリなんでしょうか?)、トミー・リー・ジョーンズは他のいろんな映画で次々「冤罪犯追跡人」を演じ続けているそうっす。ご愁傷様でした。

マイ・ベストフレンズ・ウェディング(ジョージが最高)
オープニング・タイトルの最中に、「このまま観続けていいものかどうか」と一瞬迷ったこの映画、妄想と観念がからみあう恋愛(恋やら愛)の、複雑さと微妙さとバカバカしさとすばらしさを、滑稽に、楽しく、もの悲しく、そして元気いっぱいに謳い上げた大ヒットでございました。
そして・・・主人公ジュリアン(ジュリア・ロバーツ)の友だち役、ゲイのジョージ(ルパート・エバレット)が最高。どういうふうに最高なのか、息子の観賞中の叫びを借りると、「ジョージ走ってる!」「ジョージ爆走中!」「いよっ、ジョージ、ひとり舞台!」、そんな感じのスバラシサなのです。
おいしいところさらいのジョージに負けず、他の主役の面々もいい味出してたけど、ぽっぺテカテカのメイクで「マスク」のイメージをひっくり返したキャメロン・ディアスも見事。あの音痴ぶりはほんとに演技デスカ?
ちなみに獸木はこの映画のあとも、勢い余ってディズニー映画「インスペクター・ガジェット」までルパート・エバレットを追っかけていって、ズッコケた。

ジム・キャリーもの(ジム・キャリーがかっとび)
出演映画によっては「観ちゃならねえ」というものもある気がするが、カナダ人のイメージを変えた(獸木内基準)鬼才ジム・キャリーはやはりダダモノデハナイ
体中の筋肉を使って、同じ秒数の中でどれだけサービスをしているか考えると(一般の俳優比)、獸木などは聞いても「高いんだなあ」ということしかわからない高額なギャラも安くはない。(高額なギャラはやっぱり高いです)
ある知り合いが「ジム・キャリーは子供のころすごく孤独で、遊ぶ人がいなくて、自分の顔を鏡に映していろんな顔をして遊んでたんだって。だからああなったんだって。」と言ってたけど、本当なのか?それがあの鬼気迫る天才性、凡人と大物を分つもとだったのか?うーん、ガンバリマシタネ
これから観てみよう、という人がいたら、やはり「エースにおまかせ!」「マスク」「ライアー・ライアー」「トゥルーマン・ショー」「バットマン・リターンズ」あたりがいいかもです。

 

●意外に笑える映画
ミザリー
コメディが笑えてもめずらしくないが、重いはずの映画が結構ツボにはまってしまうこともある。かの名物編集者関口さんが「作家がファンに無理矢理話を書かされる話で、他の漫画家も怖い怖いと言っていた。」というので、素直に「怖そう・・・」と思って見たこの映画、聞きしにまさるすげえ内容

娯楽作家から足を洗いたいために主人公を殺しちまう作家、「よくも(主役を)殺したわね」と作家の足をハンマーでへし折り、無理矢理話を変えさせるファン、こじつけミエミエの展開で死んだ主役を生き返らせる作家、それを読んで狂喜乱舞するファン、タイプライターでファンの頭を叩き割り、原稿を口に突っ込んで「これがほしかったんだろう、食え!」という作家。

あまりの徹底描写に、思わず手を叩いて「がっはっは」と受けてしまった獸木は、決して不謹慎なのではありません。
「作品は人のためならず」
この教訓を忘れた作家は、ミザリーみたいな頭のおかしな人にファンを名乗られても、文句は言えないのよ。作家志望の方、ぜひ一度観ておきましょう
でもこの映画を観て、「ここに出てくるファンがすげえ美女だったら、どんな展開になってたんだろう?」と、ちょっと思ってしまった獸木は、まだまだ修業不足かも知れません。

インタビュー・ウィズ・バンパイア
獸木はブラピやデカプリを毛嫌いするタイプではありませんが、彼らを「美しい・・」「かっこいい」と感じるタイプでもありません。獸木がブラピに「ほ〜」と感心するのは、「12モンキーズ」で、目をあちゃこちゃにした、頭のおかしいお兄さんの演技がすごかったりするときだったりします。
そこで、ずんぐりな体形が気に入ってるトム・クルーズ兄ちゃんまでが、減量してお耽美路線になってるというこの映画は、ややナナメに構えて観はじめたのであった。

そのせいかどうか、「フランス料理(人)でも食いにいくか。」 「家の中で人を殺すなと何度言ったらわかるの?メッ!」(と子供吸血鬼の手をピシピシ)」といった、故郷の味のブラック・ギャグに妙にハマってしまい、この映画は獸木の中で「アダムス・ファミリー」と並ぶブラック・・ユーモア映画に分類されることに・・・
ちなみにこの映画のあとで「若草物語」を観てしまった獸木は、末っ子のエミリーがいつ一家惨殺に走るかとどきどきしてしまい、一粒で二度楽しませていただきました。

紅の豚
もちろんこの映画の全編を通して笑っていたわけではないが、2個所ほど、獸木の笑いのツボをヒットしたシーンがあった。

その1/「愛国債券などお求めになって民族に貢献されてみては?(とかなんとか)」と銀行の人かなんかにすすめられて、豚さんが一言
豚さん 「そおいうことは人間同士でやんな。」
獸木 「ぎゃはははは!」

その2/別のシーンで
豚さん 「ファシストになるよか豚でいたほうがマシさ。」
獸木 「ぐあっはっはっはっは!!」

そしてわたしは聞いた。自分の笑い声が映画館中に反響するのを。子供ばかりとはいえない満員の映画館。どちらのせりふでも、獸木意外の誰一人として笑わなかったのだ。
ついにPALMの政治ギャグに「笑いました」という読者のお便りの来たためしのない謎が解けた。
幼き日は口の達者なキャラばかりのイギリス童話、思春期は20世紀ブラック・ユーモリストのドン、ヴォネガット様なんかにどっぷりつかって育った獸木野生は、「紅の豚」を映画館で観るそのときまで、「日本人はブラック・ユーモアで笑わない」ということを知らなかったのだ(ちなみに他のふたつの映画はビデオで観ましてん)。
映画館でのフラストレーションは、上記の名場面を当時のお隣さんで同じく宮崎ファンのアメリカ人ケリーちゃんに語り聞かせて盛り上がることで解消しました。

 

●泣ける映画
レナードの朝
「トッツィー」や「ライアー・ライアー」や「ジュラシック・パーク」でまで泣いて、「あの映画のどこに泣くとこがあったんだ!?」とたびたび任意出頭&厳しい取り調べを受ける獸木。
いまさら「泣ける映画」もなにもないような気がするが、「観たい映画あるから付き合って」と友だちに言われ、「『レナードの朝』?何それ?『目覚め』を描いた思春期ドラマかなんか?」としぶしぶついて行った先で、観たかった本人を差し置いてボロ泣き。ほとんど声をあげてしゃくりあげる状態でふらふらになって映画館から出てきたこの映画は、「とにかく泣ける」ということで今も泣ける映画獸木ランキングの上位に位置している。
別の友だちの、「実生活では一度も泣いたところを見たことがない」という旦那さんも泣いていたそうだから、一般的にもかなり泣ける確率の高い映画と思われる。
共にキワモノのロバート・デ・ニーロ、ロビン・ウィリアムス主演(ロビン演ずるお医者がかわいいっす)。
ちなみに獸木の「ナミダの量ナンバーワン映画」はあの「E.T.」です(泣きと泣きの間に笑いも入るので、映画が終わるまでに窒息死するかと思いました)。

 

 
<2000年10月28日号>


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