早朝、女子寮の廊下にカツカツと足音が響く。
まったく・・・何を考えてるのかしら?教室の窓から飛び出すかなフツー?!3階だちゅーのっ私達の教室は!生徒会長に、どれだけ迷惑がかかったと思ってんの?しっかと抱きとめられたですって?その後、歩き出そうとして転ぶなんてバっカじゃないの〜〜〜?だいたいアンジェリークって娘っ!生徒会長の何なわけ?
クラス委員としてだけでなく、何やら別の思惑も入り交じった感情がロザリアの頭を駆け巡る。
彼女は噂の真相を知るため、直接話を聞こうとアンジェリークの部屋を訪れたのだ。
「アンジェリーク?入るわよ」
・・・返事が無い。
今日は自室療養ということで、部屋にはいるはず・・・ロザリアは思いきってドアを開けた。
「っっっなっ・何をしているの〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
ロザリアの視線の先には、窓からシーツを伝って外へ出ようとするアンジェリークの顔があった。
ヤバイという顔だ。
「今度は何するつもりよお〜!その足で何処に行こうって言うの〜〜〜!!」
駆け寄って引っぱり上げようとするロザリアにアンジェリークは抵抗した。
「生徒会長にこれ以上迷惑を掛けるつもりっ?」
その言葉に、アンジェリークの抵抗はなお力が入る。
そして、ロザリアは自分の腕の中で泣きながら被りを振るアンジェリークに気付いた。
私・・・何をしているのかしら・・・。
ロザリアは自分の行動が整理できずにいた。
中等部時代から信頼を積み上げ、高等部1年にもかかわらず風紀委員を勤めるなど、ロザリアは誰もが認める優等生である。その彼女が足を怪我したアンジェリークに肩を貸し、生徒総会に乗り込もうというのだ。
目的はひとつ。
学園全員の前で、オスカー先輩(生徒会長)に直接謝ること。
もちろん、それでこの事態が収まるとは思えない。しかし、軽率すぎた行動を反省し、合言葉はガッツでここまできてしまった自分に決着をつけたいと話すアンジェリークを、ロザリアは応援したくなったのだ。
《続く》