統合失調症(Schizophenia)


 内因性精神病の代表とされるものであり、狭義の精神病の中でも最も罹病率
 が高く、また比較的若い時期(15〜30歳)に発病し、慢性の経過をとる
 ものが少なくない。
 その症状は精神生活前半にわたっているので、精神疾患の中でもきわめて重
 要視されている。精神病入院患者のおよそ70%は、精神分裂病者である。

原 因

 向精神病薬の効果から神経伝導物質に関する異常が注目されている。が、確
 定した原因は不明である


病 型

 普通、次の3型に分けられるが、常にとは限らず、互いに移行することもあ
 る。
1.破爪型(Hebephrenic type:Hebephrnia)
    比較的若い年齢に発病して、経過が長く、感情が鈍くなったり、意欲
   の減退が目立つ。治療は、他の型と比べて困難である。
   類破爪型(単純型):症状が顕著でなく、人格異常と区別が付きにく
   い。徐々に人格の変化だけが目立つ
2.緊張型(Catatonic type:Catatonia)
    緊張症状群の目立つもので、急激に発病し寛解しやすい。緊張性興
   奮や昏迷を呈し、再発を繰り返すのも少なくない。人格の変化は比較
   的少なく、20歳前後に発病することが多い。最近は、典型的な症例
   は少なくなってきている。
3.妄想型(Paranoid schizophrenia)
   妄想や幻覚が主な症状で、発病は20歳後半より30歳以後に発病し
   長い経過をとっても人格の変化があまり目立たない。
     * パラフレニー:妄想だけを有し、人格変化が全くないもの
4.非定型精神病
    上記3つの型に当てはめきれないもの
5.接枝性分裂病
    精神分裂病に精神薄弱が合わさったもの


症状と経過

 分裂傾向:精神の働きの滑らかな調和統一を欠く
 自閉傾向:分裂傾向の結果、社会での対人関係が上手く行かず、自分独自の
      世界に閉じこもる
 初期の症状
   周囲との生き生きとした感情的な接触、疎遠が失われ幻覚症状が現れ
   る。しかし、この時期では病識(病気であることを自分で意識してい
   ること)は保たれており、自ら医師を訪れることも多い。
 慢性期の症状
   感情鈍麻、意欲減退、無為茫然とした日々を送る。

経過
   慢性に進行し人格荒廃に陥ることが多い
   ただし、周囲の人々のサポートがあれば、社会(家庭など)での生活も
   可能である。

治 療

薬物療法
  内服、注射など、その手段は様々であるが、精神の鎮静作用が強力なので
  眠気などの副作用は避けられない
精神療法
  医師との問診を代表とする。対象と話し合う事により、治療的効果を得る
生活療法、作業療法、レクレーション療法など
  集団または、個々で行う。これらを行うことにより、周囲の関心を深めた
  り集団生活を送る上でのルールを自然と身につけたりする。また、協調
  性を養う事や持久力を養う事も、その目的となる。