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Another Works
 【Mick Jagger】 映画『ベント〜墜ちた餐宴』
PHOTO1997年カンヌ国際映画祭批評家週間正式出品作品
1997年/イギリス映画/ビスタサイズ/カラー作品/1時間45分/ドルビーステレオ
原題:BENT

監督:SEAN MATHIAS
脚本:MARTIN SHERMAN
CAST:
    Horst:LOTHAIRE BLUTEAU
    Max:CLIVE OWEN
    Rudy:BRIAN WEBBER
    Greta (George):MICK JAGGER
    Uncle Freddie:SIR IAN McKELLEN
    Wolf:NIKOLAI WALDAU
提供:チャンネル・フォー・フィルムス、NDF、アスク講談社、ザ・アーツ・カウンシル・オブ・イングランド



ナチス・ドイツが残した残忍な歴史の中、封印されてていたもうひとつの真実を明かすこの作品。収容所で虐待されたのはユダヤ人や政治犯、亡命者だけではない、同性愛者もいたという事実。しかも彼等は収容所の中では最低の扱いを受けていた。
収容所の中では各人が識別できるようトライアングルのマークを囚人服に縫いつけられた。
    黄色:ユダヤ人
    赤:政治犯
    ピンク:同性愛者
    他省略
1934年6月30日早朝、同性愛者であった突撃隊幹部レームの逮捕で始まった「血の粛清」。この映画は、その日の前夜から始まる。
PHOTO魅惑の秘密ゲイ・クラブシーン。退廃と陶酔の匂いしか存在しない。このクラブのオーナーGreta(Mick Jagger 当然、女装!!)がクラブの上から空中ブランコに乗って歌いながら舞い降りてくる。
"The Streets of Berlin"
    アシッド・ハウス・パーティよろしく、恍惚の乱痴気騒ぎと対照的にクールに語るように"The Streets of Berlin"を歌うMick Jagger。素晴しい!!

主人公Horstもやはり同性愛者。クラブで突撃隊服を着たWolfと気が会い、いつものように一夜を共にする。翌早朝、目をさますと傍らに眠るWolf。同棲中のRudyはそんな二人に対し嫉妬で戸惑う。
そこへ数人の突撃隊が乗り込んできた。
反射的に部屋から逃げ出したHorstとRudyは、Wolfが突撃隊からナイフで首を切り裂かれるシーンを目にしGreta(Mick Jagger!!)のもとに逃げ込む。

PHOTO目の前に現われたGreta(Mick Jagger!!)は昨晩までのGreta(Mick Jagger!!)ではなかった。
Wolfは突撃隊幹部レームの腹心ヘルドルフの副官の愛人だったこと、ヒトラーの命により同性愛者は今後すべて殺されるだろうと説明するGreta(Mick Jagger!!)は、既にこの状況を察知してゲイと悟られないよう、髪を切り男装していた。さらにGeorge(Mick Jagger!!)と名前も変え、ゲイ生活を抹消するため家に火をつけ『チャオ!』と一言…、過去と決別する。

    Mickの『チャオ!』。あれは、まんまMick Jaggerでした。さらにMick Jaggerはもう1回、HorstとRudyと分かれるときにも『チャオ!』と言う。チャーミング!!
HorstとRudyは、同性愛者であることを隠し2年間逃亡するが、Rudyの安直な行動のために同性愛者であることが垂れ込まれる。ゲシュタポに囚われ列車で収容所へと護送されるが、途中、Rudyは眼鏡をかけているというだけでゲシュタポに目をつけられ拷問をうける。助けに行こうとするHorstに、一緒に護送されていたMaxは「助けの手を出すと殺される」と忠告する。
    このへんから、私はゲシュタポに対して苛立ちを感じはじめた。そして護送される囚人たちに悲しみを感じた。後半、Mick Jaggerは出演しないが、映画の中にどっぷりハマっていった。

映画の話はこのくらいにしておきます。Mick Jaggerが出演していなかったら、きっと見なかったであろう『ベント〜墜ちた餐宴』は、素晴しい作品です。まだ見ていない方、チャンスがあったらぜひご覧いただくことをお薦めします。たぶん、映画として考えるとMickが出演した、どの作品よりも素晴しいかもしれません。
脇役に徹し、セリフこそ少ないのですが、スクリーンに登場したときのMick JaggerMickそのもの!! 女装のときも男装のときも、いつものMickが登場したように感じ、冷静でいられないのは、STONESファンの性(サガ)でしょうか…。
後半、ドップリとストーリーに引き付けられたことを思うと、Mick Jaggerを抜きにして素晴しい作品だと思ってしまいそうになりますが、前半の空中ブランコに座って歌うGreta(Mick Jagger!!)のシーンを思うと、やはりMickは外せません。
一瞬、あの役はBowieでもOKかなと思ったりもしますが、Bowieでは美しすぎます。皺とゴツゴツとした皮膚にお化粧を塗ったMick Jaggerこそ適任です。
女装と言えばSTONESファンなら、『
HAVE YOU SEEN YOUR MOTHER, BABY STANDING IN THE SHADOW? 』のジャケットやプロモーション・ムービー『Running out of The Luck 』を思い出すでしょうね。
でも、この映画のMick の女装はリアルです。多分、金髪のWIGを使ったほうが美しく見えたと思えるのに、黒髪のWIGを使用し、美しいとは言い難いリアルなオカマ姿で歌うMickは、素晴しいです。一つ意外なことに、この歌にはMickは歌唱のみの参加だということ。"The Streets of Berlin"の歌いだしから、ぜったいMickの作品だと思ったのに、タイトルロールを見て驚きました。いつでも、どこでもMick色。Mick恐るべし!!

映画の最後、タイトル・ロールで再びMickが歌う"The Streets of Berlin"が聴けます。 素晴しい歌の余韻を胸に秘めながら、劇場を後にすることができます。

"The Streets of Berlin"
 ●words Martin Sherman
 ●music Philip Glass
 ●performed by Mick Jagger
 ●Pianist Matt Clifford
 ●Engineer Chris Kimsey
 ●recorded at Matrix Malson Rouge


p.s. でも、やっぱり『Running out of The Luck 』などのMickも好きなんだなぁ〜!!!

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