ウイングスができてそんなに経っていないころ、新書館の関口編集者が、ウイングスにキャラクターの絵はがきを折り込んで、裏に漫画家がレシピを入れるという変な企画を考案し、わたしと誰かもうひとりくらいが書いて終わったということがありました(関口さんはよくそういったすぐ消える企画を時々単発していた)。
わたしは確か、じゃがいものゆでたのをニラとサワークリームで食べる料理を書いて、「えらいおおざっぱですね」と読者の人にほめちぎられた覚えが・・・
料理に対するおおざっぱさには、わたしが仕事で論理性と体力を使い果たすので、私生活にはヤマカンといい加減さしか残らないという理由もありますが、一方これはいわゆるファミリー・トラディッション。
実はわたしの母はとっても料理上手なんですが、自分の料理のことをいつも「山料理」と言っていました。「山料理」のほんとの意味はよくわかりませんが、母としては「ワイルドな」「おおざっぱな」「どんぶり勘定な」というような意味で使っていたのだと思います。
もちろん母の料理はどれもすばらしくおいしいので、味がおおざっぱだったり、いいかげんだったりしたためしはありません。
じゃあどこが「山」なのかというと、彼女は実は作り方が全部自己流で、分量なども大体カンで決めているのでした。わたしが作り方を教わろうと、「これの分量はどのくらい?」と聞いても、いつも「わからない」という返事。
上の理由と食生活の違いで、わたしは母のレシピは一個も受け継ぎませんでしたが、職業柄さらに簡略化された「山料理」を作るようになったのでした。
で、今回はうちのレシピを一挙公開します。「山」だからといってあなどってはいけません。空腹な人にはとってもきつい、本能に訴えるダイレクトな企画なのです。
うちのレシピの特徴としては
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ものすごく早くて、下ごしらえなどがほとんど要らない
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工程が少ない
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野菜の皮をむかない
(作業を簡単にするためと栄養価の維持のため。たわしや金たわしで洗えばたいがいの野菜はOKですが、もちろん皮のきらいな人はむいて作っていただいて結構です)
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電子レンジを使わない
(これは単にわたしが電子レンジを信用してないので家に置いていないから)
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やたらと緑黄野菜を使う
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白い砂糖でなくはちみつやブラウンシュガーを使う
(これは自分が肝臓が悪くてアレルギーを起こすからです・・・でも万人の健康にいいと思う)
といった点があります。
材料の分量の書いていないやつは、好きなだけ入れてください。お肉好きな人はお肉いっぱい、野菜好きなひとは野菜いっぱいでOKです。
あと、調味料は、分量を書いていないので(材料の分量もお好み次第なので書けん)、好みで加減してください。塩と、辛いトウガラシ類は味を見ながら入れると失敗しません。
今回は、自分の定番の中から、特に簡単で失敗が少なく、日本で簡単に食材が手に入り、オーブンとか特殊な料理器具がなくても作れるものを選んで紹介します。
うちに遊びに来ていた人は、必ずどれかは食べさせられてるはず・・・
作り方が単純で文章も短くてすむので、けっこうたくさん紹介できそうです。特に忙しい人、試してみてね。