●「星の歴史」が終わるやいなや、「お祭り騒ぎコンゲーム編」というキャッチ・フレーズで連載された、にぎやかな半アクション作品。
PALMで初めて、大河路線と探偵物(犯罪捜査でなく詐欺をやってるが)の融合を果たした長編であり、おちゃらけた外観のわりに、テーマは「罪」や「贖罪」などと思いがけず重く、また「オールスター」のタイトル通り、主なシリーズの登場人物だけでなく、ワイエスやサロニー、スタン・マティックやサーリングなど、死んだの生きてるのごちゃまぜで敵キャラたちも総出演、さまざまな形で主役たちとの和解を見せるなど、ポジティブな展開が小気味よい話でもある。
PALMの読者でアクションやコンゲーム(吊り店という、架空の事業に投資させる詐欺の手口。映画「スティング」などが代表的なコンゲームストーリー)の仕掛けに興味のある人は少ないと思うが(PALMは一応少女漫画とされていて読者層も女性が多く、通常そのことになんら不満はないけれども、わたしは実は刑務所の生活や、酒場の乱闘や、ライオンが襲ってくるアクションシーンとかにものすごく燃えてしまうたちなので、その手のシーンを描いたときは、少々寂しい思いをするときがある)そういうところにもかなり力を入れている作品。
/★★★★
制作エピソード/
わたしには習作時代から、新作が必ずと言っていいほど前作のページ数を(時にはかなり大きく)上回るという癖があった。その悪癖が、プロになってから、人目にもわかるくらい顕著に現れてきたのはこの作品からだ。
またこの作品は、シナリオをほぼ連載ごとに書いていくという手法をとり始めた最初の作品だ。作品の規模や長さがあまりに拡大してしまうと、読者が一度に物語を見通せる範囲を越えてしまい、そのため作品としての完成度や密度についての評価を下げることになる。だからこの手法や大々長編化は賛否両論だろうと思うが、作品としてより、まるで生きている人間のようにキャラクターの何気ない1日1日を追うことに執着しているわたしは、この作品から現在の「愛でなく」の執筆にかけて、よりナチュラルな、あるいはライブな、良くも悪くも「無駄の多い」作品作りに目下熱中している。
この話は、発表当時パームPALM最長の長編だったが、すぐ次の「愛でなく」が軽く倍以上のページ数を突破(目下連載中)。記録は簡単に破られてしまった。
Feb.1998
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