放課後、3人は生徒会室にいた。部屋に響くはカシッカシッっというリズミカルなホチキスの音。明日の生徒総会の資料づくりが少々残っていたのである。3人肩を並べてかなり地道な作業を黙々とこなしながら、オリヴィエが口を開いた。
「・・オスカー・・・どうすんの、この騒ぎ」
「どうすんの、って、コレ俺のせいなのかっっっっ??」
「あなただけ、とは言いませんが、当事者であるのは厳然たる事実です」
「・・・・・・・・だーーーーーっ、なんでこんな目に!」
ガシガシガシガシガシガシ、力任せにホチキスを打つしかないオスカーであった。
学園入学式初日一日だけで、金の髪の新入生の名は学園中の知るところとなった。
バルコニーから落ちた彼女を受けとめたのが、思いっきりオリエンテーションをサボっていたオスカーであったことも当然理由のひとつである。警備室のモニターで瞬間を見ていた二人もその場にかけつけ、現場に集まった教師達を3人がかりで口から出任せ思いつくだけの理由を上げ連ね説き伏せ、なんとかその場はごまかしたものの、生徒達の噂までは到底止められはしない。
「明日の総会、みんなまともに話聴いてくれるかなあ〜。ワタシ、学園行事の説明とかいろいろ喋るトコあるんだよね〜・・・やだなーうるさいの」
「私も・・・風紀について。到底静聴は期待できませんね・・・」
「だからっ、俺にどーしろっていうんだよ!あのまま、落ちてきたあのお嬢ちゃんを見捨てれば良かったってのか?」
「短絡〜。そんなこと言ってないじゃないよ」
「素晴らしい反射神経、さすがと感動すら憶えましたよ、オスカー」
「そこでにっこり微笑まれても嬉しくないっ!」
ガシガシガシガシガシガシ!怒りなのか苛立ちのせいなのかわからないが、とにかく凄い勢いでオスカーの前には完成資料が積み上がっていく。
「純粋に褒めたつもりだったのですが・・・申し訳ありません、謝ります」
返事も返さないオスカーである。
恐る恐るリュミエールが言う。
「・・・オスカー、あの・・・」
「なんだっ!」
「その資料、ホチキス曲がってます、やり直してください」
「・・・・・・・・く〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっ」
《続く》