寮対抗球技大会は予想通り大波乱の展開となった。
オスカー率いる西館はサッカーで、オリヴィエの南館はバスケットで、リュミエールの東館はクリケットで、それぞれ優勝。これで普通なら大団円・・・にしときゃいいのに、上記各寮長「これでは気がすまない」と言い出したからである。
本学園ほどの規模になると各寮の対抗意識、愛寮心はすさまじい、各寮生は一斉にシュプレヒコールを挙げた。
それは参観に来ていた家族や一般人にも飛び火する。できるだけシンプルにはっきりと決着をつける方がいいと、緊急召集された生徒会と寮対抗球技大会実行委員会も考えていた。
「では各寮の代表としてオスカー、オリヴィエ、そして私が個人競技を行うと・・・」
生徒会書記長のリュミエールはホワイトボードに”決着”と書いて消した。
「そうだね、わかりやすいし皆も納得してくれるんじゃない?で、で競技は何?」
生徒会副会長オリヴィエの問いにざわつく委員達。そこに生徒会長オスカーの鶴の一声が飛んだ。
「剣で勝負しよう」
静まる委員達の奥でリュミエールが手にするマジックチョークの音だけが響く。
「いいじゃない、フェンシング!」
まるで勝ったように余裕ありげに賛成するオリヴィエ・・・にオスカーは「残念だが」と立ち上がった。
「剣と言ったら剣道だ!」
「・・・・・・えええええええ??????!!!!」
「男と男、一対一の総当たり勝負!文句無かろう。昼食後に試合開始だ。園内放送で告知してくれ」
オスカーはやたら満足そうに言い放つと「解散!」と踵を返し部屋を後にした。
《続く》