リレー小説『踊るサクリア』07 by TAD

我々守護星の精華サクリアといえども全宇宙を内包するかくのごときアンビバレンツを解明できない。
宇宙に蔓延る善悪二元論、所謂近代合理主義の寄って立つ基盤が当初より懐胎していた本質的矛盾の露呈と断言できよう。
私の名はジュリアス。
人々に「誇り」をもたらす光のサクリアを司る守護星だ。
しかし、今朝から私を襲うこの虚無は一体何だ?
我々、守護星に与えられた運命を思うごとに、私は意気消沈している。
こんなことはかつて無かったことだ。
いかん・・・精神が不安定になっているようだ。
かの女王試験も佳境に入っているというのに、私がこんなことでどうするのだ?
しかし・・・何かがおかしい。
未だかつて無かった、この事態に私は我乍ら戸惑いを隠せなかった。
(我々、守護星に与えられた運命・・・・)
(我々、守護星が与えるべき運命・・・・)
それに抗ってはならぬ・・・とは思うものの、悲観の深淵に落ちて行くようだ。
と、その時だった。
「ジュ、ジュリアス様!」
血相を変えてマルセルが飛び込んできた。
「静まれマルセル。一体何事だ?」
マルセルは泣きそうな顔をしながら言った。
「ゼ、ゼフェルが、ゼフェルが!!」
「・・・・?」

《続く》


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