リレー小説『踊るサクリア』11 by WON

(そろそろ巻きが入っているようだな。)
マルセルを「絶対に外へ出るな」と部屋へ戻し、オスカーの執務室の扉の前まで来たジュリアスは思った。そして重々しく、その扉を開け放った。
皆の視線がジュリアスに集中する・・・そして開口一番。
「誰だ?あいつを・・・ブルー・テディを外に出したのはっ!」
「な、なんですって?ブルー・テディ!!?」
ジュリアスの言葉に、ルヴァだけは事の次第が理解できたようである。
ロザリアは、今朝見たアレを思い出し、前へ進み出て言った。
「ジュリアス様、もしかしてその、ブルー・テディというのは、熊のぬいぐるみのようなもので、さらに・・・お喋りが出来るのではありませんか?」
「いかにも、その通りだ。見たのだなロザリア。」
「はい。今朝、私の部屋で・・・。一体、何なのですか?ジュリアス様」
「いや、その説明は後にしよう。・・・守護聖の中で、まだ正気な者はいるか?」
その呼びかけに、ルヴァが答えた。
「ジュリアス、この事態でそんな質問は的確ではありませんよ。・・・と思える私は、まだ正気なのではないかと思うのですが。」
「おお、ルヴァ。お前はまだ大丈夫のようだな。詳しい状況を説明できるか?」
「はい多分。とにかくここにいては、いけません。王立研究院まで行きましょう。」
と言い終わらないうちに、ジュリアスとルヴァは部屋を出てしまった。

《続く》


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