リレー小説『踊るサクリア』13 by TAD

思えばアタシがアンジェリークと初めてあったのは女王の宮殿でのことだった。
アンジェは不安そうな顔をしながら一人で回廊に居た。
まったく、こんな子と女王を競わなくちゃいけないなんてアタシにしてみれば心外だった。女王試験が始まって依頼の才媛と謳われたこのアタシが、ぽっと出の庶民の子娘と張り合うなんて、カタルヘナ(だっけ?)家の名折れよね。
いくら、世に公正を示すためとは言え、こんな回りくどいことをする必要もないのに。
アタシはそう思ってた。
そう思ってたんだけど・・・。
本当にそう思ってたんだろうか?
いいや、そんなんじゃなかった。
あたしは気丈に振舞っていたけど、ホントは不安でしかたなかったんだ。
由緒正しいカタルヘア(?)家でさえ、女王を輩出したことは無かったし、そもそも自分にそんな裁量があるとも思っていなかった。
アタシはこみ上げる不安を必至で押え込みながら、アンジェリークに気丈に振舞って見せたのだ。
ん・・・あれ・・・?
アタシってば一体何を考えているの!?
ちょっと待ってよ、じょーだんじゃないわ!
なんでアタシがここで、三流週刊誌の独白めいたコトを考えなくちゃいけないのよ!
なんか、おかしいわ。
一体、アタシはどーしたの!?
と、その時である。
庭の方で誰かの大声が轟いた。

《続く》


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