リレー小説『踊るサクリア』21 by 岸田
「・・・オスカー様、オスカー様っ!!」
アンジェリークは倒れたままのオスカーに向かって怒鳴る。応答は無い。
「もう良いんですよっ!お芝居は〜・・・・って、アレ?」
うっそ、マジで気ぃ失ってんの??
アンジェリークは驚いて駆け寄り、オスカーの上半身を抱き起こす。
「ふんが〜〜〜〜〜〜っ、お・重い〜〜〜〜〜〜〜!!」
満身の力を込めて、その重い半身を起こした時、オスカーも意識を取り戻した。
「あ、俺は・・・」
「やぁだもう〜〜、オスカー様、ほんとに気絶しちゃうなんて!信じらんない。ロザリアなんてスプーンより重たいもん持ったことないよーなお嬢様なんですよ?そんな女の子に踏みつけにされたくらいで」
オスカーは頭を振って完全な覚醒を得てから、即座に言い訳を始めた。
「いやでも、そうは言ってもだな、ロザリアの一撃は凄かったぞ・・・!ヒールのかかとにこう・・一瞬にして・・・秘孔を突かれたっちゅうか・・・」
「ヒールのかかと・・・・オスカー様ったら・・妙な方向に目覚めちゃったりしないでくださいよぅ〜」
にやにやと含み笑うアンジェリークの肘に小突かれながら、オスカーは肩を落とす。
「おいおい・・お嬢ちゃん。うら若き乙女がそんな事言っちゃいけないな」
その台詞にますます嫌な感じの笑いを浮かべるアンジェリーク。
「やだなーオスカー様って、もしかして女の子にドリーム入ってません??きょーび、女子高生たるもん、こんくらいのこと挨拶代わりに言いますって」
「そ・そうなのか??」
「そうですよ〜〜〜お。もうね、本気でそういう方向の話したら凄いですよ〜!!」
「凄い・・・」
視線が泳ぎ出すオスカーであった。
「スモルニィみたいなお嬢さん学校でもそうなのか?」
「どこも同じ!この年頃が3人集まればもう」
「もう?どうなんだ?なんなんだ??!!!」
「・・・・聞きたい??」
「・・・・聞きたい・・・・・!!!」
「うっふふ〜〜素直でかわい〜(^^)。そんなオスカー様には大サービスで教えちゃおうかな〜」
「・・・お嬢ちゃん・・・じらさないでくれ・・・」
「えっとね〜、じゃあこれはぁ、私のクラスの友達の友達の、部活の先輩の話なんですけどぉ〜・・・・・・」
アンジェリークはそっとオスカーに耳打ちする。その内容に目を丸くするオスカー。
「・・・本当かっ?!!!・・・で?それで?それでそれでそれでそれで????」
「それでね、そのコ、その後ぉ〜・・・・」
再び内緒話突入。
「ぬぁ〜〜〜〜にぃ〜〜〜〜〜〜!!!そ・そんなことがっ」
アンジェリークのぶちかます、衝撃の内容に異様な盛り上がりを見せる炎の守護聖。身体は既に前のめりである。話し甲斐のある反応に、アンジェリークも意気揚々だ。
「ね、びっくりでしょう〜。でもほんとなんですって。これ、確かな筋の情報ですから!」
「そうか・・・」
「他にもねえ、こんな話もありましたよ〜」
「・・・・何〜!マジかーーーーーー??」
置かれた状況をすっかり忘れ果て、やけに楽しげに、取り残された二人の会話は脱線したまま暴走を続けていくのだった。
・・・・・おいおい、いーのか?森の湖にはアンタたち以外全員集まって大騒ぎなんじゃあ??
《続く》
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